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STEP AND FLAT構造


私たちが開発している「KAITEKI道路」のコア技術である「STEP AND FLAT構造」についてご紹介します。

STEP AND FLAT構造の名前は、「雪が積もらないように穴が開いており、踏み出す(STEP)ことで穴が塞がり(FLAT)平らになる」という仕組みに由来しています。

プロダクトイメージ図(初期パイロットモデル)

◆ 路面上に雪などが積もらない機構
路面の下に空洞を設け、路面の隙間から雪が透過できる構造を採用しています。これにより、路面上に雪が積もることを防ぎます。また、屋根や車から落ちるドカ雪(雪塊)や、水分を多く含んだベチャ雪の付着などを考慮し、床面材料や隙間の大きさ、路面下の深さなどを設計しています。

◆ 荷重により床面がフラットになる機構
歩行者が通ることで、その周囲2mの路面隙間が自動的に平らになる仕組みです。床面材の段差は約5mm以内(点字ブロックと高さ同等)とし、つまずきや転倒を防止します。さらに、床材は荷重によって可動するため、電力やエネルギーを使用せずに機能します。

 

アクセシビリティ・ロード


高齢者、妊婦(ベビーカー使用者)、子ども、視覚障がい者(白杖使用者)、車椅子利用者、ハイヒールを履いた方など、誰もが快適かつ安全に利用できるプロダクトを目指します。

路上障害物の例(2020年調査より)

 

 

設計思想


私たちは、できる限りシンプルでありながら、俯瞰的な視点を持ち、求められる機能性・安全性・公正な「ものづくり」を目指します。

◆床材の故障や破損時にも安全に通行できるように
あらゆる事象を想定し、さまざまな角度から開発検証を進めています。たとえば、FMEA(故障モード影響解析)やリスクアセスメント、エンドユーザーによる価値検証を基に、転倒防止や安全性だけでなく、製造から使用・廃棄までのライフサイクルを見据え、床材の劣化・メンテナンス性、凍結対策、自然現象(地震や強風など)への耐候性、施工性の検証も行っています。

◆周囲のインフラシステムを配慮した維持管理および商品設計
あるとき、歩道がきれいな石畳に整備されました。しかし、その1年後に水道配管の更新が行われ、その石畳は破壊されてアスファルトに変わりました。その原因は、道路と配管といった異なるシステムの管理が独立していることにあります。このような事例から、私たちは周囲のインフラシステムとの整合性を考慮し、維持管理や商品設計を行っています。その他、床材と関係するインフラシステムには、電柱(無電柱化)・水道ガス配管(共同溝)・点字ブロック(障がいをサポートする設備)等があります。

 

 

当たり前を変える


私たちは「次世代にどのような未来の生活を残したいか?」を常に考えながら、次世代型の路面の開発に取り組んでいます。

社会インパクト事例

〇 社会分野
民家の玄関前や駐車場、バス停、駅ホーム、高速道路のSAPA(サービスエリア・パーキングエリア)などで除雪が不要となるため(除雪した雪を運搬することも必要なくなる)、除雪にかかる費用や時間が削減されます。これにより、雪国エリアのQOL(生活の質)が向上します。既存の除雪方法(重機、ロードヒーティング、散水融雪、凍結防止剤散布)と比較すると、開発した道路は、維持管理費や労力が最も少なく、除雪で必要な重機や電気・熱エネルギーが一切不要な革新的なインフラ技術として、社会に貢献することができます。

〇 環境分野
緑化を通じて、路面上のヒートアイランド現象の防止や、CO2吸収によるカーボンニュートラルへの貢献が可能です。さらに、植物は人々の幸福感に影響を与えることが多くの研究で示されています。

〇 インフラの維持管理・防災分野
道路における除草や路面清掃が不要となります。路面下に共同溝(「共同溝とは」国交省HP)を設置することにより、インフラのメンテナンス時に必要だった路面の掘削工事が不要となります。また、技術進歩により、電線を共同溝で管理し、無電柱化の促進が可能となります。さらに、都市部では、自然災害によるインフラ損傷部の早期復旧や、内水氾濫を防ぐための貯水設備機能、霞提の機能など、防災対策の強化も検討しています。